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新協定案    考え方    参考資料
UPZ 圏自治体新安全協定案
新協定案
これまでの研究会での議論に基づいて
私たちが提案する「新協定案」は、次の通りです2021.3.13現在
UPZ 研究会協定案策定部会(担当・文責:策定部会内作業チーム)

東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所に係る住民の安全確保に関する協定書(案)

 〇〇市(以下「甲」という。)と東京電力株式会社(以下「乙」という。)は、東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所(以下「発電所」という。)に対する〇〇市民の安全及び安心の確保を目的とし、次のとおり協定を締結する。

(連絡会の設置)
第1条 甲及び乙は、平常時における相互の連携を図るため、原子力発電所連絡会(以下「連絡会」という。)を設置し、原則として、定期的に開催するものとする。ただし、甲又は乙は、必要と認める場合は、甲乙間で協議の上、臨時の連絡会を開催できるものとする。
2 連絡会では、甲又は乙からの報告事項等に対し、甲及び乙は相互に意見を述べることができるものとする。
3 連絡会の運営に関し必要な事項は、別に定めるものとする。

(情報公開) (※註①を反映)
第2条 乙は、発電所の運転、保守及び管理の状況について、積極的に情報の公開を行い、住民との間で情報の共有に努めるものとする。

(通報連絡)
第3条 乙は、次の各号のいずれかに該当する場合は、直ちに、甲に対し、その状況に関し必要な情報を連絡するものとする。
(1) 原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号。以下「原災法」という。)第6条の二第1項に基づき原子力規制委員会が制定する原子力災害対策指針の警戒事態に該当する事象が発生した場合
(2) 原災法第10条第1項の規定による原子力防災管理者の通報が必要な事象が発生した場合
(3) 原災法第15条第1項各号に掲げる場合
2 乙は、次の各号のいずれかに該当する場合において、その旨を報道機関に情報提供しようとするときは、甲に対し、報道機関に情報提供する内容を連絡するものとする。ただし、消耗品の取替えその他簡易な補修による復旧等日常の保守管理の範囲のものであるときは連絡を要しない。
(1) 実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和53年通商産業省令第77号)第134条の規定により原子力規制委員会に報告する場合
(2) 原子力発電工作物に係る電気関係報告規則(平成24年経済産業省令第71号)第3条又は電気関係報告規則(昭和40年通商産業省令第54号)第3条の規定により経済産業大臣及び原子力規制委員会等に報告する場合

(3) 原子炉の運転中において、原子炉施設以外の施設の故障により、原子炉が停止した場合又は原子炉の運転停止が必要となった場合
(4) 原子炉の運転中において、原子炉施設以外の施設の故障により、5パーセントを超える原子炉の出力変化が生じた場合又は原子炉の出力変化が必要となった場合
(5) 気体状又は液体状の放射性廃棄物を排気又は排水設備により放出し、かつ、乙が定める原子炉施設保安規定(以下「保安規定」という。)に定める放出管理目標値を超えた場合
(6) 核燃料物質若しくは核燃料物質により汚染されたもの(以下「核燃料物質等」という。)又は放射性同位元素の輸送中における事故が発生した場合
(7) 核燃料物質等又は放射性同位元素の盗難又は所在不明が生じた場合
(8) 乙が事故、故障等の発生又はそのおそれによる施設からの退避又は立入規制を指示した場合(第1号に該当するときを除く。)
(9) 放射線監視に支障を及ぼすモニタリングポスト等の故障が発生した場合
(10) 発電所敷地内における火災の発生又はそのおそれのある場合
(11) 発電所周辺における震度3以上の地震により発電所への影響が生じた場合又はそのおそれのある場合
(12) 原子炉の運転中において、原子炉施設又は原子炉施設を除く施設の故障により極めて軽度な計画外の出力の変化が生じた場合又は出力を抑制する必要が生じた場合(台風、雷等の自然災害に起因し、又は発電所を除く電力系統に起因するときを除く。)
(13) 原子炉の運転中又は停止中において、燃料に係る極めて軽度な故障が認められた場合又は故障が想定される場合
(14) 前2号に掲げる場合のほか、原子炉の運転に関連する主要な機器に極めて軽度な機能低下が生じた場合又は機能低下が生ずるおそれのある場合(当該機器の機能低下により、プラントの運転に直接影響を及ぼす系統の機能の低下がなく、かつ、低下のおそれもないときを除く。)
(15) 保安規定に定める運転上の制限の逸脱のあった場合
(16) 気体状又は液体状の放射性廃棄物の極めて軽度な計画外の排出があった場合
(17) 機器の故障、誤操作等により、管理区域内における核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の極めて軽度な漏えい(単に増締め等により速やかに復旧する場合及び定期検査等における予防措置を講じた上で作業を行った場合に生じた漏えいを除く。)が生じた場合
(18) 従事者及び従事者以外の者に極めて軽度な計画外の被ばくがあった場合
(19) 原子炉施設における休業を要する極めて軽度な人的障害が発生した場合
(20) 原子炉等の内部で異物を発見した場合
(21) 発電機の解列又は原子炉の運転停止であって、計画外のもの又は前各号による連絡がなされないものが生じた場合
(22) 原子力規制庁に報告すべき不適合情報に該当する事案が発生した場合。ただし、当該事案が「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」第68条の二の第一項における「特定核燃料物質の防護に関する秘密」に該当する場合は、その概要を連絡するものとする。(註⑦参照)
(23) 前各号に掲げる場合のほか、発電所の事故、故障等について乙の判断により公表する事象が発生した場合
3 通報連絡の体制及び方法など、通報連絡の実施に関し必要な事項は、別に定めるものとする。

(取組状況等の報告) (※註②を反映)
第4条 甲は、乙に対し、原子力発電施設の安全性及び信頼性のより一層の向上を図るため、安全確保対策の取り組み状況等について、報告を求めることができるものとする。

(現地確認)
第5条 甲は、甲の住民の安全の確保のために必要があると認める場合は、乙に対し報告を求め、又は甲の指名する職員により、発電所の現地を確認できるものとする。
2 乙は、前項の現地確認に協力するものとする。
3 甲及び乙は、第1項に定める現地確認において相互に意見を述べることができるものとする。
4 現地確認の実施に関し必要な事項は、別に定めるものとする。

(適切な措置の要求)  (※註④を反映)
第6条 甲は、前条の規定に基づく現地確認の結果、特別の措置を講ずる必要があると認めたときは、県、国を通じ、乙に対し原子炉の運転停止を含む適切な措置を講ずることを求めるものとする。ただし、特に必要と認めたときは、直接乙にこれを求めることができるものとする。

(事前了解)
第7条 乙は、次の各号いずれかの場合には、甲の事前了解を得るものとする。
(1) 発電所の発電施設及びこれと関連する施設等の新増設又は変更をしようとするとき。(※註③を反映)
(2) 前条の規定に基づき原子炉の運転を停止した場合において、その運転を再開しようとするとき。(※註④の3項を反映)
(3) 新規制基準適合に伴い発電所を稼働及び延長運転をしようとするとき。(※註⑤を反映)
2 乙は、前項の事前了解を得るにあたっては、甲に丁寧に説明を行うとともに、甲からの意見や追加の安全対策の要求がある場合は、それらに適切に回答及び対応するものとする。(※註⑤及び⑥を反映)

(損害の補償)
第8条 発電所の運転保守に起因して甲の住民に損害を与えた場合は、乙は、誠意をもって補償するものとする。

 (協定の変更)
第9条 この協定に定める事項について変更すべき事情が生じたときは、甲及び乙のいずれからも当該変更を申し出ることができる。この場合において、甲及び乙は、それぞれ誠意をもって協議に応ずるものとする。

 (協定の効力等)
第10条 この協定は、平成25年1月9日から効力を生ずるものとする。
2  甲と乙が平成24年2月9日締結した東京電力柏崎刈羽原子力発電所における事故等の通報連絡に関する協定書は、平成25年1月8日限り廃止する。

 (その他)
第11条 この協定の実施に関し必要な事項及びこの協定に定めのない事項については、甲乙協議の上、別に定めるものとする。

 この協定成立の証として、協定書2通を作成し、甲乙記名押印の上、それぞれ1通を保有する。

平成25年1月9日

                                                           甲  〇〇市・町          
                                                                       市・町長 (当時の首長名)
                                                          乙  東京電力株式会社       
                                                                      代表執行役社長 廣 瀬 直 己


改定履歴
平成25年7月8日 一部改定
平成26年7月1日 一部改定
令和3年〇月●日 一部改定

 

                    【現行協定と新協定案についての考え方】
1.現行安全協定について
 現在、柏崎刈羽原発に関し、東京電力と締結している県内自治体の協定としては下記2つがある。
① 新潟県と立地自治体(柏崎市・刈羽村)が締結「東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所周辺地域の安全確保に関する協定書」(1983 年 10 月、その後改定重ねる)(略称として仮に「県・立地自治体協定」とする)
② 上記立地自治体を除く県内 28 市町村が個別に締結「東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所に係る住民の安全確保に関する協定書」(2013年1月、その後改定)(略称として仮に「28自治体協定」とする)
 28自治体は「市町村による原子力安全対策に関する研究会」(略称「研究会」)を構成し、幹事は新潟・長岡・上越の各市長、長岡市が事務局。28自治体が共同歩調を取っている。また、柏崎市・刈羽村がアドバイザーとして位置づけられている。
 なお、現行の「28自治体協定」における「運用要綱」においても、30キロ圏自治体には他の自治体よりも一歩踏み込んだ役割を課している。

2.UPZ自治体新協定案についての策定部会及び作業チームの考え方
・現行の「28自治体協定」をベースとして、UPZ圏自治体については、本研究会の趣旨である「再稼働事前了解権」等を新たに付加する形を基本とする。
・その際、東海第二原発に関し、日本原電と東海村・日立市等、立地及び周辺市が締結している新安全協定(2018年、略称として仮に「東海第二新協定」とする)に盛り込まれている事前了解権等の条項を参考とする。
・「県・立地自治体協定」に盛り込まれている「設備の新増設等に関わる事前了解」、「適切な措置要求」等も盛り込むべき。
・さらに、本年1月に「他人のID不正使用」や「工事完了としていたが実は未完了」であったことが発覚する事件があったが、これらに対応するため、「県・立地自治体協定」に盛り込まれている「情報公開」や「取組状況等の報告」についても盛り込むとともに、「通報連絡」に関わる条項の強化が必要と考える。
・以上の考えに基づき整理すると、現行「28自治体協定」がUPZ圏の内外の2つの協定に再編成されることになるが、引き続き28自治体の「研究会」の枠組みでの連携も必要と考える。
・また、上記の「情報公開」や「取組状況等の報告」「通報連絡条項の強化」についてはUPZ圏外の県内自治体の協定への反映も検討
3.補足

 作業部会としては、今回UPZ自治体の協定に追加する条項のうち、事前了解権の追加・通報連絡条項の強化などについては「県・立地自治体協定」にも反映されるべきという観点でも意見交換している。

                  <註:追加した条項の参考としたもの等>
1.県・立地自治体協定の参照条項
①    第 2 条(情報公開)
 丙(註:東京電力)は、発電所の運転、保守及び管理の状況について、積極的に情報の公開を行い、周辺地域住民との間で情報の共有に努めるものとする。

②     第 5 条(取組状況等の報告)
 甲(註:新潟県)又は乙(註:柏崎市・刈羽村)は、丙に対し、原子力発電施設の安全性及び信頼性のより一層の向上を図るため、安全確保対策の取り組み状況等について、報告を求めることができるものとする。

③    第 3 条(計画等に対する事前了解)
 丙(註:東京電力)は、原子力発電施設及びこれと関連する施設等の新増設をしようとするとき又は変更をしようとするときは、事前に甲及び乙の了解を得るものとする。

④    第14 条(適切な措置の要求)
 甲又は乙は、第 10 条の規定に基づく立入調査等の結果、特別の措置を講ずる必要があると認めたときは、国を通じ、丙に対し原子炉の運転停止を含む適切な措置を講ずることを求めるものとする。ただし、特に必要と認めたときは、直接丙にこれを求めることができるものとする。
 なお、この措置要求にあたっては、甲及び乙は十分協議し、甲の名において行うものとする。
2 丙は、前項の規定に基づき甲から適切な措置を講ずることを求められたときは、誠意をもってこれに応ずるとともに、その結果を甲及び乙に報告するものとする。
3 丙は、第1項の規定に基づき原子炉の運転を停止した場合において、原子炉の運転を再開するときは、事前に甲に協議するものとする。
 なお、当該協議を受けた場合において、甲及び乙は十分協議し、甲の名においてその結果を丙に通知するものとする。


2.東海第二協定
⑤    第 2 条(事前説明及び意見交換)
 乙(註:日本原電)は、東海第二発電所の新基準適合に伴い原子力発電所を稼働及び延長運転をしようとするときは、事前に甲(註:立地及び周辺 6 市村)に丁寧に説明するものとする。
2 甲は前項の乙の説明に対し意見を述べることができるものとし、この場合において乙は誠意をもって回答するなど甲の理解を得るよう最大限努めるものとする。

⑥    第 6 条(実質的事前了解)
 この協定においては、乙が新基準適合に伴う稼働及び延長運転をしようとするときは甲による意見の提起及び回答の要求並びに乙による回答の義務、甲による現地確認の実施、協議会における協議並びに甲による追加の安全対策の要求と乙による追加の安全対策の要求と乙による適切な対応義務とを通じた事前協議により実質的に甲の事前了解を得る仕組みとする。


3.核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(通称:原子炉等規制法)
⑦    第六十八条の二(秘密保持義務)
 原子力事業者等(原子力事業者等から運搬を委託された者及び受託貯蔵者を含む。次項において同じ。)及びその従業者並びにこれらの者であつた者は、正当な理由がなく、業務上知ることのできた特定核燃料物質の防護に関する秘密を漏らしてはならない。
2 国又は原子力事業者等から特定核燃料物質の防護に関する業務を委託された者・・(略)
3 職務上特定核燃料物質の防護に関する秘密を知ることのできた国の行政機関・・(略)
※東電が地元自治体等に連絡しなかったのは上記第一項を根拠としている。
 

考え方
参考資料
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